日本刀刃文の顕微鏡画像

私の愛するものに日本刀が有る。年に数回、白鞘より出してやり、曇りや錆が出ていないか観察し打粉にて刀身を磨き、ジックリと観察を楽しむ。その後丁子油で拭う手入れを行っている。日本刀の刃文には、微細な粒子による沸できと匂いできの2種で成り、その中に"金すじ""砂流し""足"と言った造形が見られる。今日の手入れしたものは、備後貝三原正近作の匂いできの直刃を成すものだが、手入れ中ふと「匂いとは、顕微鏡下ではどの様なものなのか?」と思い立った次第。早速顕微鏡を用意し撮影したものが、本日お見せする画像である。十代後半より刀剣に興味を持ち早数十年に成るが、顕微鏡で刃文を観察したのは今回が初めてである。蝋燭の炎のもとでの肉眼観察での刃文と言うものは、神秘的で奥行きの深いものが有り、温かみすら感じられるのだが、顕微鏡下では何とも冷たく単純なのだ。様は土置きによって変わる焼き入れ温度と鉄そのものの硬度の差が、研磨によって如実に現れている。更に簡単に言えば研磨にによって硬柔の差がマクロ〜ミクロの凸凹と成り、硬い部分は凸と成って金属光沢が強く黒く見え、柔らかい部分は凹と成って白く曇って見え、肉眼的には紋様と成って見える訳なのだ!顕微鏡の無かった昔の刀匠は、この画像を見てどの様に思うのだろうか?